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照恩寺住職によるブログてらすブログ

2018/5/22

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日本画家の荒井寛方

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 皆様は日本画家の荒井寛方さんをご存知でしょうか。
 私は正直なところ、照恩寺に入寺するまで知りませんでした。では照恩寺に縁ある方なのかといいますと、実は前住職の祖父(母方)にあたるお方が、その人なのです。

 荒井寛方さんは1878年に生まれ1945年に亡くなっておられます。ですから、明治から昭和にかけて生き抜かれたお方です。栃木県のご出身で、若い頃は浮世絵系の水野年方というお師匠さんのもとで修行をなさっています。兄弟弟子には美人画で有名な鏑木清方さんがおられました。その後、横浜の三溪園を造られた原三渓さんという貿易商の後援もあって、「院展」において横山大観、下村観山など、そうそうたる方々と肩を並べ活躍されました。また、ノーベル文学賞のタゴールさんと親交を深め、インドへ招かれ、そこでアジャンタ石窟寺院の壁画模写をされています。そのような影響もあって、「仏画こそ芸術の最高」と明言されている通り、「仏画の寛方」と呼び讃えられるほど多くの素晴らしい作品を残しておられます。

 私自身は、仏画に触れる機会はそうありませんでしたが、前住職が所蔵する作品や図録を拝見して、仏画という概念が変わるほど、といえば大げさかもしれませんが、こんなにも素晴らしい仏画があるのだと驚いたことです。非常に妖艶でいて、清らかな、そして気高い、そんな言葉が似合う作品ばかりです。何よりも仏さまと菩薩さまにみられるお慈悲の表情、ここを皆さん味わってください。仏画の歴史約1500年において、描き出された仏さまのお慈悲の表情、人智を超えた真実のお姿がそこにあるのですから。

 浄土真宗に縁ある方なら、多くの方が目にされるお仏壇にある仏画とはまた違う、まさに見て喜ぶ仏画がそこにあります。近代における仏画を、改めて鑑賞する機会を得てみてはいかがでしょうか。私もまだ彩色された名品を拝見しておりませんが、「竹林の聴法」(横浜三渓園所蔵)という作品は図録で見る限り、ワクワクさせてくれる、お釈迦様のお姿を思わず想像させる、そんな作品だと感じました。前坊守のおススメでもありますので、三渓園にぜひ一度行ってみたいと思います。

 荒井寛方さんについては、もっとお知らせしたいことがありますが、今回はだいぶ割愛してご紹介しましたので、もっと詳細を知りたいという方は照恩寺へお出かけになってみてください。ご希望の方は前住職が図録を差し上げるそうですよ。

 ちなみに今、照恩寺では季節限定(6月上旬まで)で荒井寛方作「杜若」を展示しています。

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