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照恩寺住職によるブログてらすブログ

2018/4/19

Column

行ってきましたシリーズ/vol.④

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行ってきました。というよりは、ほぼ毎週のようにお参りしてますと言ったほうがいいかもしれませんね。

私が上京しまして、初めに驚いたのは墓前にて年忌法要を執り行うことでしたが、それと同様に、こんな広大な土地が東京にあるんだと、それが墓所なのが驚きでした。小平霊園によって、今までの墓所のイメージは少し変わったように思います。

イメージを変えた理由は、墓所なのに半分が緑豊かな公園になっているところでしょうか。広大で落着いた雰囲気の中、四季折々の花や新緑そして紅葉など一通り観察することができるのは、田舎育ちの私にとって非常に有難い空間です。また、広いのでお参りするのが大変だと思いきや、小平霊園は特に区画がよく整理されていますので、お墓の近くまで車で行くことができますから、むしろ非常にお参りしやすい墓所といえます。

あと、小平霊園には著名な方のお墓が数多くあるのですが、その中に浄土真宗と縁の深い柳宋悦さん(1889-1961)がおられます。宗教哲学者で民芸運動の父といわれ、無名の職人による民衆的美術工芸の美を発掘し、世に紹介することに努められたお方として有名です。

浄土真宗と縁が深いのは 、その昔、富山県南砺地方に暫く滞在されていたからです。そこで浄土真宗の他力の精神風土に触れることによって、人間の計らいを超えた広大な世界、つまり仏力が私たちにはたらいたとき「信」となるように、物(民芸)にはたらいたとき「美」になることをつかまれ、自然に帰依することで初めて美を生み出す力が与えられるのだという一つの理論を生み出しました。真宗風土、土徳なるものが、柳宗悦さんに与えた影響は大きなものであったと思います。
 
詳しくは別の機会にしたいと思いますが、何にせよこれをもとに『美の法門』という素晴らしい書物を書かれておられますので、ご興味のある方は是非読まれてみてはいかがでしょうか。「本当の美しさは 個人を超えたところにある」と仰った柳宗悦さんの世界は、まさに仏教美学といえる世界でありましょう。
 
最後に、照恩寺初代住職のお墓があるのも小平霊園です。  

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