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照恩寺住職によるブログてらすブログ

2022/8/1

Art

伊藤誠 荻野僚介 諏訪未知 「heliotrope(ヘリオトロープ)」

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季節柄ぐずついた天気が続いておりますが、皆様は如何お過ごしでしょうか。
さて照恩寺アートプロジェクト、現在は村田恵理子さんの展示が好評開催中ですが、早くも次のシーズン35の内容が以下の通り決定致しましたのでご案内させていただきます。
アーティストは伊藤誠さん、荻野僚介さん、諏訪 未知さんによるお寺では再びの三人展です。 ご存知の方も多いと思いますが各所で大変ご活躍のお三方による展示が有難くも照恩寺で開催くださいます。また先月展示くださいましたOJUN氏を迎えて本堂にてトークセッションも行われるそうです。新たな試みも含め、どういった空間になるか何時もながら非常に楽しみです。これをご縁に、そっと我が身を深遠なる世界に浸してみてください。引き続き皆様のお参りをお待ちしております。



技術官に随行する測夫というのがまた隠れた文化の貢献者である。ただ一人山頂の櫓に回照器(ヘリオトロープ)を守って、時々刻々に移動する太陽の光束を反射して数十キロメートルかなたの観測点に送る。
(寺田寅彦「地図を眺めて」『寺田寅彦随筆集 第五巻』岩波文庫、1948年、9ページ)

展覧会名とした「heliotrope(ヘリオトロープ)」は、カール・フリードリヒ・ガウスが19世紀初頭に発明した測量器械である。目標点を示すために日光を反射させ、信号とする。三角測量に用いられた。

伊藤誠、荻野僚介、諏訪未知、3人の作品を基点として測られ、把握されうる事象、それはいかなるものか。「3つで測る」ことを試みる展覧会です。照恩寺から展示のお話をいただいた荻野が、伊藤、諏訪へ声掛けをしたことをきっかけとします。展覧会名、会場構成など、具体的なものにするために、3人で練り上げていきました。展覧会内展覧会として、お寺の坪庭にて、野外展も同時開催いたします。また、画家のO JUN氏をお迎えし、本堂にて、トークセッションを行います。

世代が異なる3人の作家が一堂に会すことにより、いかなる地図が立ち現れるのか。どうぞ夏のお寺にお立ち寄りください。

もっとも物の価値は使う人次第でどうにもなる。地図を読む事を知らない人にはせっかくのこの地形図も反古(ほご)同様でなければ何かの包み紙になるくらいである。読めぬ人にはアッシリア文は飛白(かすり)の模様と同じであり、サンスクリット文は牧場の垣根(かきね)と別に変わったことはないのと一般である。しかし「地図の言葉」に習熟した人にとっては、一枚の図葉は実にありとあらゆる有用な知識の宝庫であり、もっとも忠実な助言者であり相談相手である。(寺田寅彦「地図を眺めて」前掲、6ページ)

「ヘリオトロープ」は、ギリシャ語のhelios(太陽)とtrope(向く)を語源とします。それはまた植物の名前でもあります。青紫色の小さな花をたくさんつける。その花から派生し、視覚に関わる色の名前、さらには身体に訴える香りの名前でもある。原理的な技術であるheliotropeは、存在するものの複雑さを持って、この世界に現れます。我々が、この語を展覧会名とした、もうひとつの理由です。

[作家プロフィール]

伊藤 誠 ITO Makoto
1955年 愛知県生まれ。1983年武蔵野美術大学大学院彫刻コース修了。
主な個展に双ギャラリー((2020, 19, 17, 13, 02 年/東京)、ガレリア・フィナルテ(2019, 15, 12, 09, 07, 04, 01 年/愛知)、ギャラリー白(2018, 14, 10, 06, 03 , 01 年、1995 年/大阪)など。
主なグループ展に「ヘテロトピア」都美セレクション グループ展 松浦寿夫・吉川陽一郎/白井美穂・岡田和枝・伊藤誠/東京都美術館(2019年/東京)、「引込線-2017」 旧所沢市立第2学校給食センター(2017年/埼玉)、「ペコちゃんスタイル」平塚市美術館(2015年/神奈川)など。      

伊藤誠《Dinosaur》ミクストメディア、108.0×60.0×3.0cm、2017

 

荻野 僚介 OGINO Ryosuke
1970年埼玉県生まれ。1993年明治大学政治経済学部政治学科卒業、1998年Bゼミスクーリングシステム修了。
主な個展に「造形言語」See Saw gallery+hibit(2021年/愛知)、「(-ness)」Maki Fine Arts(2018年/東京)、「個点々」switch point(2015年/東京)など。
主なグループ展に「MOTコレクション ただいま/はじめまして」東京都現代美術館(2019年/東京)、「ペインティングの現在 –4人の平面作品から–」川越市立美術館(2015年/埼玉)、「New Vision Saitama 4 –静観するイメージ–」(2011年/埼玉)など。
 
荻野僚介《w1062×h431×d33/w431×h1062×d33》アクリル絵具・キャンバス、43.1×106.2cm、2020



諏訪 未知
SUWA Michi
1980年神奈川県生まれ。2005年多摩美術大学大学院美術研究科修了。
主な個展に、「project N 86 諏訪未知」東京オペラシティアートギャラリー(2022年/東京)、「Solid Objects」gallery21yo-j(2021年/東京)、「3つの世界」KAYOKOYUKI(2020年/東京)など。
主なグループ展に、「絵画の現在」府中市美術館(2018年/東京)、「仮設と星屑」A-things(2016年/東京)、「行為の触覚 反復の思考」上野の森美術館(2012年/東京)など。

諏訪未知《カセット(B)》油彩・キャンバス、33×22cm(3点)、2022 (撮影:加藤健)


●期 日:2022年7月3日(日)~8月7日(日)
●会 場:照恩寺(東京都小平市美園町3-23-20)
●開催時間:13:00~18:00
●お休み:毎週火曜日・水曜日、7/23、8/6
●入場料:無料
●イベント:トークセッション 7月30日(土)16:00 – 18:00[要予約]、ゲスト:O JUN 募集定員30名
お陰様でトークセッションのお申込みが定員に達しましたので募集を終了致します。有難うございました。
トークセッションへご参加の方は感染対策(マスク着用、体温測定)の上お参りくださいますようお願い致します。また、入堂の際は手指の消毒、堂内換気を行なっておりますのでご協力くださいますよう併せて宜しくお願い致します。
なお、トークセッション30分前から本堂内には入れませんので、展示のみにお越しの際はくれぐれもご注意ください(※15:30以降は本堂以外の展示のみであればご覧頂けます)。
●備 考:駐車スペース5台まで

※引き続き感染防止(換気、人数制限等)に配慮した展示会を行っておりますので、何卒ご協力の程よろしくお願い致します。

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